愛された先パイ
入学式は、結構緊張していた。
仲の良い友達と高校は別々で、あたしは心細さでいっぱいだった。
初めて見る大きな体育館。
自分の席が書かれた紙を渡されたけど、チンプンカンプンで、よくわからず、迷っていた。
「友衣奈!」
人混みから聞こえる声。
やってきたのは、不良って言うかギャルって言うか、まあそんな感じの雰囲気を漂わせる女の人。
周りにいた子や親は驚いて避けていたけど、あたしは迷わず走り出し、その人物に抱きついた。
「お姉ちゃん!」
不良?ギャル?みたいなのは、あたしのお姉ちゃん。
有明友美恵。
「何しているの。席に座りなさい」
「席がどこだかわからないの・・・」
「見せてごらん。案内するから」
「ありがとうお姉ちゃん!」
早速お姉ちゃんに紙を渡した。
しかしお姉ちゃんは「ん?」と首を傾げた。
「お姉ちゃん?」
「・・・ごめん友衣奈。わからないや」
え?
えええええ!?