愛された先パイ
あたしが心の中で叫んでいると。
『入学式を始めます。
席へお着きください』
そんな放送がはいった。
「お姉ちゃん!」
「な、何なのこれ・・・。
どうしよう!!」
あたし、席がわからないまま入学式始めるの!?
そんなの嫌だよ!!
「・・・有明?」
ふと聞こえた、優しい声。
甘くて丁度良い高さだ。
イケメンボイス、略してイケボと言っても良いかもしれないほど。
「リク!」
リク?
やってきたのは、お伽噺に出てきそうな、優しき顔をした王子様。
お姉ちゃんもあたしの顔も、真っ赤に染まっていく。
「どうしたの」
「い、妹の席がわからなくて・・・」
どんな人にも堂々としているお姉ちゃんが、慌てたように話す。