愛された先パイ
その日からあたしは、お姉ちゃんから先輩のことを沢山聞いては学んだ。
先輩に釣り合える女になれるよう、おしゃれとかも学んだ。
先輩を好きな女子と仲良くなり、毎日先輩について話した。
彼女は先輩に憧れているだけであり、好きという感情は持っていなかったので、恋のライバルになる心配もなかった。
ある日のこと。
あたしが在籍するクラスに、転入生が来た。
名前は、天使雛ちゃん。
なんとも可愛らしい名前をしている。
容姿もヒヨコみたいで可愛いし。
人見知りなのか、天使さんは自分から話しかけようとはしなかった。
最初は多くの人が天使さんに話しかけていたけど、対応がイマイチだと言う理由から、天使さんからは離れるようになってしまった。
天使さんは転入してきたその日から、授業が終わると一目散に教室を出て行くことが多くなった。
あんなに可愛いんだから、彼氏と待ち合わせでもしているのだろうと、皆話していた。
ある時、クラスにある噂が流れてきた。
学園の王子様・成島凌空には彼女がいる。
しかもその彼女は後輩。
あたしはそれを聞いて、ひどく哀しんだ。
ずっとずっと、先輩に恋をしてきたのに。
お姉ちゃんにも沢山協力してもらったのに。
よりによって、
あたしと同い年の子なんて。