愛された先パイ








その日からあたしは、お姉ちゃんから先輩のことを沢山聞いては学んだ。

先輩に釣り合える女になれるよう、おしゃれとかも学んだ。

先輩を好きな女子と仲良くなり、毎日先輩について話した。

彼女は先輩に憧れているだけであり、好きという感情は持っていなかったので、恋のライバルになる心配もなかった。





ある日のこと。

あたしが在籍するクラスに、転入生が来た。

名前は、天使雛ちゃん。

なんとも可愛らしい名前をしている。

容姿もヒヨコみたいで可愛いし。




人見知りなのか、天使さんは自分から話しかけようとはしなかった。

最初は多くの人が天使さんに話しかけていたけど、対応がイマイチだと言う理由から、天使さんからは離れるようになってしまった。




天使さんは転入してきたその日から、授業が終わると一目散に教室を出て行くことが多くなった。

あんなに可愛いんだから、彼氏と待ち合わせでもしているのだろうと、皆話していた。



ある時、クラスにある噂が流れてきた。



学園の王子様・成島凌空には彼女がいる。

しかもその彼女は後輩。



あたしはそれを聞いて、ひどく哀しんだ。

ずっとずっと、先輩に恋をしてきたのに。

お姉ちゃんにも沢山協力してもらったのに。



よりによって、

あたしと同い年の子なんて。












< 36 / 80 >

この作品をシェア

pagetop