愛された先パイ
「天使さん」
「・・・な、何ですか?」
「先輩と、成島凌空先輩と付き合っているって本当?」
「・・・」
「答えなさいよ!!」
あたしは天使さんの席の前の席の椅子を蹴飛ばした。
ガターンッと鋭い音がした。
「・・・関係ないはずですよ、あなたには」
「天使さん、あとから来たくせに奪うなんて、最低!」
「・・・どちらが最低なんですか?」
天使さんは立ちあがり、あたしを睨む。
茶色い瞳が、あたしを睨む。
光なんて宿っていない・・・。
感情もない、そんな瞳だ。
「・・・先パイを、リクを奪うのは、私が許しませんから」
天使さんはその可愛らしい名前と見た目からは想像も出来ないほど冷たい声で言い放つと、本を持ったまま、
教室を出て行ってしまった。
「・・・怖くね?アマツカイ」
「だよな・・・」
「何するかわかんないね」
男子や女子が天使さんを怖がり、口々に言う。
あたしはそのまま、
泣き崩れた。