愛された先パイ
「俺、もう帰るわ。
映画のチケットはやるから、観て行くか捨ててくれな」
にこりと無理して笑ったアツシは、「じゃあな」と行ってしまった。
「・・・リク。今井先輩、大丈夫ですかね?」
「アツシはああ見えて立ち直りも早い・・・。
明日には元気になっていると思うけど・・・・」
「そうですか・・・。
なら良いんですけど・・・・」
「アツシは悪くないよ。
・・・悪いのは、あの鹿野美亜だ」
「許せませんか?」
「ん、勿論。
アツシはああ見えて良い奴だからね。
俺の幼馴染だし」
「リクの大切な人は、私にとっても大切な人。
鹿野美亜さん・・・許せません。
私からリクを奪おうとしましたし」
「確かに、それもムカつくな」
俺らは暫く鹿野美亜について話していたが、アツシからもらった映画を観に行くことにした。
映画は結構面白かった。
シリアスかと思っていたけど、コメディ風で。
隣で観るヒヨコも、楽しそうに微笑んでいた。