愛された先パイ
「で?ミホはどうした?」
「・・・ボクね、ミホが遠くに行くこと、許せないの」
「・・・は?」
「だからね、ミホを一生ボクのモノにすることに決めたよ」
「はあ?」
「ついておいでよ。
でも、アツシにはあげないからね?」
リクは気持ち悪いほど微笑むと、俺を遊園地の外れへと連れて行った。
滅多に従業員もお客も来ない、人通りの少ない怪しい場所。
「リク、危なくないか?」
「だいじょぉぶだぉ?」
「ほらぁ!」とリクは楽しそうに地面を指さした。
まるで、おもちゃを誰かに見せるように。
「・・・!?」
地面にいたのは、変わり果てた、ミホの姿。
ミホの自慢だった美しい長い黒髪はホラー映画のようにグシャグシャ。
あどけない顔は、泥と真っ赤な“何か”でグチャグチャ。
ミホが今日のために買って来たと楽しそうに言っていたワンピースは切り刻まれ、泥まみれ。
「・・・ミホ?ミホ!!」
「声かけても無駄だよ。
ミホはもう、
死んでいるんだから」
「・・・リク」
「ん?なあに?」