愛された先パイ
「あの2人、似た者同士だからねぇ。
リクは、今まで殺した人のリストをパソコンの中に厳重に保管しているの。
そこに書きこまれた人を、俺がおびき寄せてリクが殺すって手口を使っていたの」
「そうなの?」
「試しにヒヨコちゃんのパソコンにもハッキングした。
そうしたら、リクと似たようなもの作ってた。
殺した人たちは、全てヒヨコちゃんの前の学校のクラスメイト。
リストの中に、通り魔事件で殺された人たちも書きこまれていた」
「そうなんだ・・・。
あの子、可愛らしいから、想像もつかないよ」
「・・・リクもヒヨコちゃんもね、普通の家庭に生まれていたら、何もなかったのに」
「普通の家庭・・・?」
「リクの家族はさっき説明したよね?
ヒヨコちゃんの家は父親・母親・姉の4人家族。
でも、父親も母親も、お姉さんばかり可愛がってたみたい。
ヒヨコちゃん、パソコンの中にあった日記に、延々と“愛されたい”って書いてあった。
お姉さんばかり愛されてた証拠だね。
ヒヨコちゃんは家族を殺した。
自分を愛さない家族なんて必要ないからね?
初めてヒヨコちゃんを心から愛した人間。
それがリクだった。
リクも可愛らしくて自分を愛してくれるヒヨコちゃんを愛した。
リクが好きな子だから、リクの両親も愛した。
リクを奪おうとした有明姉妹も鹿野姉妹は、ヒヨコちゃんにとっては許せない相手だったんだろうね。
リクもヒヨコちゃんから離れさせられると思って、2人で姉妹を殺した」
話し終えて丸山を見ると、驚いた表情と悲しそうな表情が混ざった、なんとも言えない表情を浮かべていた。
「あの2人・・・どうしたんですかね?」
「さあ。
メールも返信来ないし・・・」
「随分アッサリしてますね」
「・・・自分ではよくわからないな。
丸山が言うのなら・・・そうかもしれない」