愛された先パイ








「愛しあっていたって・・・。
よく許せたね」

「それ、あたしも思います。
でも、友美恵も一時期は成島くんに夢中でしたから」




リクはあんな本性を持ちながらも、あのルックスや優しい性格のお蔭で、モテていたからな。

リクを好きになると、殺されるのにね。

女って、だから不思議だよ。

殺されるとわかっていても、近づくんだから。




リクに殺されるとわかっていながらも、リクを諦めなかった女は多い。

それだけ・・・リクは愛されていた。




「あたし、不思議に思いました。
どうして今井くんは、成島くんに近づくのだろうと。

成島くんの幼馴染ってことは有名でした。
幼馴染なら、彼の本性を知っていても可笑しくはない。
それなのに、付き合っていてて、凄いなって思いました。

さっき、今井くんに成島くんの過去を聞きました。
それ聞いても、まだわかっていません。

どうしてですか?」




どうして、か。




「・・・リクがパソコンに殺す人のリストを作っているって話したじゃん?」

「しました」

「殺す人の横にね、理由が書いてあったんだ」

「理由、ですか」

「リクね、中学の時は毎日のように誰か殺してた。
快楽殺人者なんじゃないかって疑ったほどね。
俺、あいつがいつか捕まるんじゃないかって思って、止めようと思った。

でも、理由を見て・・・止めるのをやめた」






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