愛された先パイ









俺の話を聞いた丸山は、ふんわり微笑んだ。



「優しいんですね」

「そぅ?」

「成島くんのことを本気で大切にしていないと、そんな手伝いなんて出来ませんよ」

「本当は、止めてあげるべきだったんだけどね・・・。
リクのこと、本当に大切に思うのなら。

結局俺、自分のことしか大事に出来なかった。
自分が殺されるのが嫌だったんだよ」

「だからあたし、多分今井くんに惹かれたんですね」




丸山の言葉に、俺は思わず吹き出した。




「あんた、変わっているな。
この期に及んで俺が好きなわけ?」

「はいっ!」

「リク目当てじゃねぇよな?
大体俺に告白する奴、リク目当てだからさ」

「そんなんじゃありませんよー。
あたしは、友達思いの今井くんが好きなんですー」

「ふぅん・・・」

「信じてませんね?」

「うん」

「そ、即答しないでくださいよ・・・」

「ハハッ悪い悪い」




笑いながら、俺は綺麗な青空を見つめる。




幸せになれよ。

リク、ヒヨコちゃん・・・。








< 75 / 80 >

この作品をシェア

pagetop