愛された先パイ
ヒヨコちゃんが息子と娘を覗き、微笑む。
俺はヒヨコちゃんが大切に抱きしめる子ども2人を見る。
「名前、なんて言うの?」
「男の子と女の子です。
男の子が、“空(そら)”で、女の子が“雛子(ひなこ)”です」
「空くんはリクから、雛子ちゃんはヒヨコちゃんからかな?」
「はい!」
「可愛い名前つけたじゃん」
「男の子は、私がつけました。
リクみたいに、かっこよくなってほしくて・・・」
「雛子は俺がつけた。
ヒヨコみたいに、可愛くなってほしいからな」
「そっか・・・」
「にしても、お2人さん変わりましたね」
亜美菜の言葉に、確かにと頷く。
実は2人、高校を中退し、暫くの間、行方不明だった。
多分リクの両親は行方を知っていただろうけど。
俺にさえも教えてくれなかった。
高校卒業したある日、2人は何事もなかったかのように、俺と亜美菜の前に現れた。
リクとヒヨコちゃんは頭の良さから、小さな会社を立ち上げていた。
お金の援助は、多分リクの両親がおこなっていたと思う。
警察は無能ではないと思っていたけど。
リクもヒヨコちゃんも、逮捕されなかった。
リクが中学の頃殺した奴もミホも、死体は埋められているから、現在も行方不明とされている。
ヒヨコちゃんが殺した通り魔事件も、犯人は今だ不明らしいし。
ヒヨコちゃんの殺したご両親は、どこかに埋まっているらしいからね。
有明姉妹と鹿野姉妹も、自殺と判断され、それ以上の捜査はなかった。