グレープフルーツを食べなさい
「ところで先輩、女性社員も何人かオアシス部のメンバーに入れるって知ってます?」

「知ってるも何も、女の子たちはみんなその話題で持ちきりよ」

 まだ飲み足りなさそうな上村の表情を見て、空になった上村のマグにおかわりを注ぐと、上村は「ありがとうございます」と軽く頭を下げた。

 女子社員たちの関心は、プロジェクトそのものではなく、誰がメンバーに入るかということらしい。

 うちの部からは美奈子で間違いないだろう、というのが彼女たちの予想らしかった。

「あっちに移ってからも一緒に働けたらいいですね、先輩」

 皿洗いに集中する私を、上村が横から覗き見る。にやけた表情に私は眉をしかめた。

「どうして私が。何であんたと」

 プロジェクトそのものには興味あるけど、やっぱり社内ではあんまり上村に関わりたくない。


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