グレープフルーツを食べなさい
 どうやら部長は、自分の言葉に照れているらしかった。

 自分が今までコツコツやってきたことがちゃんと会社に認められたんだ。じわじわと体中に喜びが湧き上がってくる。

「朝のお茶も中山あたりにちゃんと引き継いどいてくれよ。あれがなきゃ俺は仕事にならん」

「わかりました。とりあえず今から淹れて来ますね」

「おう、頼む」

 それだけ言うと、部長はすぐにパソコンに向かう。

 部長の仕事が捗るように、とびきり美味しいお茶を淹れてこよう。

 私は部長にもう一度頭を下げると、給湯室へと向かった。


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