グレープフルーツを食べなさい
「これ誰に作らせたの?」

「資料自体は私が作ったけど、コピーとか仕上げは後輩に頼んだ……」

「これも相良の指示じゃねえ? あいつホント質悪いな」

 上村は資料を睨み付けながら、片手で頭を支えた。

 つま先から言いようのない焦りがじりじりとはい上がってくる。

「どうしよう。今からじゃ差し替える時間ないよね……」

「そんなことないよ。データはまだ先輩が持ってるんでしょう? 今からコピーして追加すれば大丈夫」

 上村にそう言われたら、間に合うような気がしてきた。

「そう……そうよね。それじゃ今から外食部に戻って……」

 そこまで言いかけて、ハッとした。

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