グレープフルーツを食べなさい
「そうだけど……」

「迷ってる暇ないよ、先輩。行こう」

 確かにそうだ、もう時間がない。ここは上村のことを信じて任せるしか……。

「……わかった。お願いするわ」

 外食部に戻ろうと会議室のドアに手を掛けると、反対の腕を上村に取られた。

「何?」

「これ以上あいつらに邪魔させんなよ」

「させないわ」

「やっぱり、先輩は頼もしいよ」

 私の言葉に上村は満足そうに頷いた。

 もう本当に時間がない。私と上村はそれぞれの仕事に取り掛かるべく、急いで会議室を後にした。


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