グレープフルーツを食べなさい
 給湯室へ向かった時とは打って変わって、すっかり明るい表情になった二宮さんにお茶をのせたトレイ持ってもらい、二人で廊下を歩いていると、外食事業部の方から女の子たちの甲高い声が聞こえた。

「……何かあったんでしょうか?」

「さあ」

 そろそろ朝礼が始まる時間だ。普段ならオフィスはピリッとした緊張感に包まれているはず。

  二宮さんに部長へのお茶出しを任せて自分の席に戻ると、響子が慌てて駆け寄ってきた。

「何の騒ぎ?」

「何って三谷さん、上村くんですよ。彼、ここに配属になったんです」

「あ、上村も今日からだっけ」

 私は響子と話をしながら、パソコンの電源を入れた。

  デスクには書類とファイルの山。今日もやるべきことはたくさんある。

< 13 / 368 >

この作品をシェア

pagetop