グレープフルーツを食べなさい
「そういうこと、他の子たちにも言ってあげたら? 上村から言われたら、きっとみんな喜んでお茶汲みするわよ」

「そんなことしたら、先輩の仕事が減っちゃうじゃないですか。ごちそうさまでした」

 私に湯呑みを手渡すと、さっさと給湯室から出て行く。

「何よあれ」

 どうしてみんな、あいつの本性に気づかないんだろう。

 私は戸棚から新しい湯呑みを取り出すと、また全員分のお茶を淹れなおした。


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