グレープフルーツを食べなさい
「ああ上村、おつかれさま。リストランテHiraに行ってたんでしょう? どう、契約うまくまとまりそう?」

「そうですね、まあ」

 返事は素っ気ないけれど、上村は自信ありげな顔をしている。ずっと手こずっていたみたいだけど、きっとうまくいったんだろう。

「そう、良かったじゃない」

 上村からいい報告を聞けて、自然と笑顔になる。私は上機嫌で急須のお茶を湯呑みに注いだ。

「喉渇いたなー。先輩、俺にも一杯もらえますか?」

「いいけど、熱いお茶でいいの?」

 上村は汗が滲んだ首筋をハンカチで拭っている。

「ホントは冷たいのがいいけど、それよりも先輩が淹れたお茶の方がいい」


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