グレープフルーツを食べなさい
「店長がいいって言ってんだから、何も買い取る必要なかったんじゃないの?」

「私が全部落としたんだもん。そんなのダメよ」

「ホントにクソ真面目だよね。それにしても、会社じゃしっかりして見えるけど、先輩って案外抜けてるよね」

「うるさいわね! その話はもう止めにしてったら」

「相良たちに話したら、あいつら大喜びで言いふらすんじゃねえ?」

「いい加減にしないと、これ食べさせないわよ」

 面白がって、いつまでもからかうことを止めない上村に腹を立てた私は、揚げたてのエビフライの山を指差した。レモンの代わりにお皿に添えるのは、もちろんくし切りにしたグレープフルーツだ。


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