グレープフルーツを食べなさい
別離
今日は朝から雨だ。
九月に入ったとはいえ、まだまだ暑い日が続いている。
こんな朝のバスは、湿気と人いきれで満ちていて最悪だ。ようやくバスから降りて、私は一息に外の空気を吸い込んだ。
あれから、上村とは一言も言葉を交わしていない。
職場では目も合わさないし、上村が給湯室までお茶をせがみに来ることももうない。もちろん、部屋まで押しかけてくることも。
――元の生活に戻っただけなのに。
毎日会社に通い、母の様子を見て、一人の家に帰る。そうやって、毎日を過ごしていたはずなのに。
上村の不在がこの胸にぽっかりと大きな穴を開ける。そしてその穴は、そう簡単には埋まりそうになかった。
九月に入ったとはいえ、まだまだ暑い日が続いている。
こんな朝のバスは、湿気と人いきれで満ちていて最悪だ。ようやくバスから降りて、私は一息に外の空気を吸い込んだ。
あれから、上村とは一言も言葉を交わしていない。
職場では目も合わさないし、上村が給湯室までお茶をせがみに来ることももうない。もちろん、部屋まで押しかけてくることも。
――元の生活に戻っただけなのに。
毎日会社に通い、母の様子を見て、一人の家に帰る。そうやって、毎日を過ごしていたはずなのに。
上村の不在がこの胸にぽっかりと大きな穴を開ける。そしてその穴は、そう簡単には埋まりそうになかった。