グレープフルーツを食べなさい
「ダメよ。返し……」
全て言い終わらないうちに、両肩をきつく掴まれた。見たことないほど苦しげな表情を見せる上村に、胸が痛む。
「……どうして。ひょっとして麻倉のこと? それならちゃんと……」
「違うわ」
麻倉さんがどうであろうと関係ない。問題は、私と上村では『違い過ぎる』ということだ。
「違うならどうして」
「上村、もうやめよう。私たちは一緒にいるべきじゃない」
「……どうしても?」
「どうしても」
素直にその手を取ることができたなら良かったのに。
私の気持ちは変わらないと悟ったのか、上村はゆっくりと私から離れた。名残惜しげに私に触れ、唇にキスを落す。
「さよなら、香奈」
最後にそう告げ、上村はこの部屋から出て行く。
これで、最後。
そう思ったことはこれまで何度もあったけど、本当にこれで最後なんだ。
音もなく、玄関のドアが閉まる。私は手のひらの鍵をきつく握り締めた。
全て言い終わらないうちに、両肩をきつく掴まれた。見たことないほど苦しげな表情を見せる上村に、胸が痛む。
「……どうして。ひょっとして麻倉のこと? それならちゃんと……」
「違うわ」
麻倉さんがどうであろうと関係ない。問題は、私と上村では『違い過ぎる』ということだ。
「違うならどうして」
「上村、もうやめよう。私たちは一緒にいるべきじゃない」
「……どうしても?」
「どうしても」
素直にその手を取ることができたなら良かったのに。
私の気持ちは変わらないと悟ったのか、上村はゆっくりと私から離れた。名残惜しげに私に触れ、唇にキスを落す。
「さよなら、香奈」
最後にそう告げ、上村はこの部屋から出て行く。
これで、最後。
そう思ったことはこれまで何度もあったけど、本当にこれで最後なんだ。
音もなく、玄関のドアが閉まる。私は手のひらの鍵をきつく握り締めた。