グレープフルーツを食べなさい

　ずばり核心を突かれて、私は息を呑んだ。

　私の変化の原因が鳴沢さんにあるってこと、どうして上村にわかったんだろう。

　実は、部内の誰か……たとえば美奈子あたりからもう聞いていて、上村も全部知っているのかもしれない。

「本当はもう誰かに聞いているんじゃないの？」

「まあ、多少は。男にも女にも、そういう話が好きなヤツっていますしね」

　そう言って上村は指で頬を掻く。

　みんな裏ではまだ、私のことを面白おかしく噂しているのだろうか。

　当時のことを思い出すと、それだけでげんなりしてしまう。

「でも、本当に鳴沢さんと別れたことだけが原因ですか？　それにしてはちょっと極端な気がするんですけど。確かに先輩は元々仕事に厳しい人だったけど、昔と違って今の先輩はわざと嫌われ者を演じているように俺には見えますよ」