グレープフルーツを食べなさい
「それで、本当のところはどうなんですか?」

「え?」

「だって先輩、仕事の時は厳しいけど、実際はそういう強かなタイプじゃないでしょう」

「……何を根拠に」

 今まで上村と会社や社内の飲み会以外で顔を合わせたことなんてないのに。

 どうして私の性格まで、上村にわかるっていうの?

「話聞きますよ、俺。……いつまでも一人で抱えてるの、しんどくないんですか?」

「……別に、平気よ。今までだってずっと一人でやってきたんだし」

「先輩も案外強情だなあ」

 なかなか口を割らない私に腹を立てるどころか、上村の表情は楽しそうだ。

 ひょっとして、何か企んでる?

「わかりました。それならば、俺と勝負しませんか?」

 ……やっぱり!


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