グレープフルーツを食べなさい

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「……ムリ! こんな酒、もう飲めないわ」

 グラスにお酒の半分を残したまま、私はカウンターに突っ伏した。

 初めて飲むタンカレーは、はじめの一口からかなりきつかった。

 それでもまだ、一口目は顔には出さずにいられた。すぐに負けを認めるなんて、悔しすぎるから。

 でも、三口目を飲んだところで、喉が焼け付くように痛み出した。

 お腹の底から熱の塊が這い上がってくるようで、私はとうとう、それ以上口に運ぶのを諦めた。

「俺の勝ちですね。約束は守ってもらいますよ」

 上村はグラスを空にしても平然としている。

「あんたのだけ本当は水だったんじゃないの?」

「まさか」

 私は上村が手にしていたグラスを奪い取り、自分の鼻先へ近づけた。確かに私が飲んだものと同じ、タンカレーのフルーティな香りがした。


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