グレープフルーツを食べなさい
「これは何?」

「大丈夫、お酒じゃありませんよ。ピンクグレープフルーツのジュースです。酔い覚ましにもいいんですよ」

「……へえ。上村、詳しいのね」

「これでも一応飲料部にいましたからね。だいぶ勉強させられました」

 上村はそう言って、目を細めて笑った。

 私は淡いピンクのかわいらしいドリンクに手を伸ばした。

 口に含むと、スムージーのようにシャリとした、細かい氷を食べているような食感がした。適度な酸味と果実のほのかな甘さが舌で溶け、冷たく喉を滑り落ちていく。


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