グレープフルーツを食べなさい
 エネルギー事業部のエースこと鳴沢幸二とは、同期入社だった。

 仕事も出来るし、人当りも良い彼はとにかくモテて、給湯室や更衣室でも、よく女の子たちの話題に上っていた。

 順調に出世街道を進み華やかな彼と、地味で目立たない私とは、同期という以外に接点なんてなかったし、おそらく今後も関わることはないだろうと思っていた。

 それがある時、私は彼と同じ社内委員会に入ることになった。

 委員会は部署を跨いでの活動で、年の近いメンバーが多く、皆仲が良かった。

 そのことをきっかけに、会えば挨拶を交わす程度だった彼とも、少しずつだけれど話をするようになった。


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