グレープフルーツを食べなさい
「もう! そんなに冷めてるの三谷さんだけですよ。きっとこれから面白くなりますよー。美奈子なんてすでに目の色変えてるし」

「……ふうん」

 響子はただこの騒ぎを面白がってるだけか。別に上村狙いってわけじゃないんだ。

 でもここで反応すると、ゴシップ好きの響子の口はたぶん止まらなくなる。

 仕事を邪魔されたくない私は、わざとそっけない返事をした。

「ふうんって、三谷さん興味ないんですか?」

「ないなあ」

「もうっ、つまんない! 三谷さんに話を振った私が悪かった。もういいですっ」

 ふくれっ面でそう言うと、響子はつまらなさそうに自席に帰っていった。

< 7 / 368 >

この作品をシェア

pagetop