グレープフルーツを食べなさい
深夜のグレープフルーツ
上村に部屋の鍵を奪われた夜から数週間が過ぎた。
上村から鍵を取り返したいのに、なかなか二人で話す時間が取れない。
営業の上村は元々社内にいることが少ないし、たまに外食部で見かけても、美奈子をはじめ女性社員たちがうるさくまとわりついている。
さすがに上村が勝手に部屋に入り込むようなことはなかったけど、他人が自分の部屋の鍵を持ってるなんてなんとなく気持ち悪い。
かといって、マンションの管理会社に上村とのことをどう説明してよいのかわからず、私は鍵の取り替えも依頼できずにいた。
ーーーーーー
「熱っ!」
考え事をしてぼうっとしていたせいで、熱湯を入れて温めていた湯呑みが熱くなりすぎていた。
手を引っ込めた勢いで倒れてしまった湯呑みを起こし、零れた湯を布巾で拭う。
いつもの自分ならば絶対にやらないような失敗に苛立ち、ため息が零れた。
上村から鍵を取り返したいのに、なかなか二人で話す時間が取れない。
営業の上村は元々社内にいることが少ないし、たまに外食部で見かけても、美奈子をはじめ女性社員たちがうるさくまとわりついている。
さすがに上村が勝手に部屋に入り込むようなことはなかったけど、他人が自分の部屋の鍵を持ってるなんてなんとなく気持ち悪い。
かといって、マンションの管理会社に上村とのことをどう説明してよいのかわからず、私は鍵の取り替えも依頼できずにいた。
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「熱っ!」
考え事をしてぼうっとしていたせいで、熱湯を入れて温めていた湯呑みが熱くなりすぎていた。
手を引っ込めた勢いで倒れてしまった湯呑みを起こし、零れた湯を布巾で拭う。
いつもの自分ならば絶対にやらないような失敗に苛立ち、ため息が零れた。