グレープフルーツを食べなさい
 部長のお茶を手に給湯室から出ようとしていると、廊下から女の子たちの賑やかな話し声が聞こえてきた。

「やったね、美奈子。金曜の飲み会、上村さんも来てくれるんでしょ?」

「うん」

「やったあ! 楽しみ。後のメンバーは誰なの?」

 この声は、うちの部の子たちだ。能天気な話し声にため息が出る。

「ちょっとあなたたち、声が大きすぎるんじゃない?」

 突然現れた私に、三人の話し声がピタリと止まった。

「あ、三谷さん。すみません」

 少しも悪びれることなく美奈子が答える。両脇の二人も慌ててぺこりと頭を下げた。

「朝礼遅れないでね」

 どうせ今から化粧直しにでも行くつもりなんだろう。去り際の私の一言に、小さな舌打ちが聞こえた。

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