グレープフルーツを食べなさい
 岸くんはかなり緊張しているのか見るからにガチガチだ。

 それに比べたら、二宮さんは結構余裕があるみたい。見るもの全てが珍しいって感じでオフィス中を見回している。

「二人ともデスクはとりあえずここを使って。あ、あなたは今から一緒に給湯室行ってくれる?」

「え? 私だけですか」

 私が二宮さんに声をかけると、彼女は驚いた顔をして立ち止まった。

「朝礼始まるから、とりあえずついてきて」

 私は立ち止まったままの彼女を廊下へと引っ張り出した。

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