グレープフルーツを食べなさい
「それが、補佐として女子社員も何人か引っ張るらしいんですよ」

「へえ、それは初耳」

「それで、美奈子がまた張り切っちゃって。何でもうちの部からは上村くんでほぼ決まってるみたいで」

「それで美奈子が上村の補佐を狙ってるって?」

「そういうことです!」

 そう言うと響子はフォークに巻きつけたパスタを、パクリと一口で食べた。

「美奈子、自分が選ばれるって信じてるんですよ。図々しいと思いません? 大した仕事もしてないくせに」

「響子、悪口が言いたくてわざわざランチに出たの?」

「違いますよ。私はただ、三谷さんが選ばれたらいいなあって思って」

「はあ!? 私?」

「だってうちの部で一番仕事ができるのは三谷さんじゃないですか。それを差し置いて自分がだなんて、美奈子ってほんと図々しい」

 ……結局、響子は美奈子が選ばれるのが嫌なだけなんじゃないの?

 そう思ったけれど、敢えては口に出さずにおいた。


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