ヌエ
あざみ
あざみ
遠くの山が、群青色の峰を現した時、町は闇に覆われる。鉛色の身体を、ゆっくりと滲ませて行く 「長居をしたかな」 手には、あざみを握りしめ妖怪界に去っていったヌエ
カラスの群れと共に山に帰ろうとしたヌエは、浮浪者の、ように歩く若い青年を見つけた。コンビニの店員が置き忘れた廃棄のパンをズボンの中に詰め込み、ビルの建設現場の柵の隙間から入り、資材置き場のブレハブに忍びこんでいった。「うまいか、」青年の横に座り声をかけた、声上げて驚くはずなのだが、青年はチラッと見ただけで、パンをむさぶり食っていた。
「おい、お前、俺が怖くないのか」返事はない
それどころか寝そべりヌエを見ている「ヘンなの」
「ヘンなのって、俺はヌエ、お前名前は?」ボソッと、たけしと名のった。 「家族が心配してないか」また黙った、ヌエは感じていた。たけしの重い過去を・・その時、ネズミが横切った、たけしは、ワッ!と言う声と共にヌエに飛びついた 「おい、おいネズミの方が、怖いのかよ」 ヌエはたけしの言いようのない悲しみ、そしてその底に、薄紫の小さなあざみの花を見た。
遠くの山が、群青色の峰を現した時、町は闇に覆われる。鉛色の身体を、ゆっくりと滲ませて行く 「長居をしたかな」 手には、あざみを握りしめ妖怪界に去っていったヌエ
カラスの群れと共に山に帰ろうとしたヌエは、浮浪者の、ように歩く若い青年を見つけた。コンビニの店員が置き忘れた廃棄のパンをズボンの中に詰め込み、ビルの建設現場の柵の隙間から入り、資材置き場のブレハブに忍びこんでいった。「うまいか、」青年の横に座り声をかけた、声上げて驚くはずなのだが、青年はチラッと見ただけで、パンをむさぶり食っていた。
「おい、お前、俺が怖くないのか」返事はない
それどころか寝そべりヌエを見ている「ヘンなの」
「ヘンなのって、俺はヌエ、お前名前は?」ボソッと、たけしと名のった。 「家族が心配してないか」また黙った、ヌエは感じていた。たけしの重い過去を・・その時、ネズミが横切った、たけしは、ワッ!と言う声と共にヌエに飛びついた 「おい、おいネズミの方が、怖いのかよ」 ヌエはたけしの言いようのない悲しみ、そしてその底に、薄紫の小さなあざみの花を見た。