ヌエ
「お兄ちゃん、これ、あげる。」紗香が、手渡そうと、する小さな左手の薬指から、ブツリと血が膨らんだ 「あっ!」たけしは、すぐに、その指を口にあて、チュとすった。 「お兄ちゃん、ありがとう、なおちゃった」と首すくめて、ニコッと笑う。 たけしにとって、紗香が、すべてで紗香が居てくれるだけで幸せだった。
施設に来て1年になるだろうか、父親の顔を知らない兄妹の所に、突然やって来た男、幼い二人に繰り返される暴力それを、見て見ないふりをする母、
冬空の日、裸で外に放り出された、その時、近所のおばさんが通報してくれ、施設に入る事ができた。二人寄り添い、ごはんを食べ笑う事も思いだした。 しかし、そんな日は続かなかった。 「たけし!紗香!迎えにきたぞ!」籍を入れ父親になったと言う男は、引き止める先生たちを、振りきりひこずるように、二人を連れて帰った。
施設に来て1年になるだろうか、父親の顔を知らない兄妹の所に、突然やって来た男、幼い二人に繰り返される暴力それを、見て見ないふりをする母、
冬空の日、裸で外に放り出された、その時、近所のおばさんが通報してくれ、施設に入る事ができた。二人寄り添い、ごはんを食べ笑う事も思いだした。 しかし、そんな日は続かなかった。 「たけし!紗香!迎えにきたぞ!」籍を入れ父親になったと言う男は、引き止める先生たちを、振りきりひこずるように、二人を連れて帰った。