ヌエ
「消えろ! どこから、来たか、知らんが目ざわりなんだよ!」たけしは無視して動こうとは、しなかった 茶髪の男が「消えろー」の声と、ともに石を投げた地面にあたり割れて、たけしの背中と頬に当たった。 頬に血が滲む、右手の指先に滲んだ血を押しあて、じっと見ていたかと思うと顔や目付きが変わった。
土手をかけ上がり、茶髪の男に飛び付き、そのまま転がり落ちて来た(止めろーたけし)ヌエは吠えた。鼻血を流し気を失う男を蹴り後の二人の男にも殴りかかり、投げ飛ばした、どこに、こんな力があったんだろう、犬のヌエは叫んだ! 「やめろー死んでしまうぞ!」ビタッと動きが止まった、顔を見合わせて「ワン」その場から逃げた

ハァーハァー、息の荒いたけしが、絢香とつぶやいた、頬のあざが、あざみの花のように見えた。

必死に走って逃げた先は、ブルーシートが並ぶホームレス街だった、その中から一人の老女が、出てきた手に持っていたカゴを落としビー玉が転がった
「たけし!」
「えっ!」たけしも俺もびっくりした。
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