ヌエ
駆けよって来た老女は、たけしにしがみつき泣いた 「おばあさん、人違いじゃないですか」優しく声をかける、いつものたけし以上に落ち着いた顔になっている。「ごめんよ、生きているはずなどないんだよ、私が死なせて、しまったんだから、 でも、あんたも、たけしって言うのかい 神様のお導きだよ、今日はたけしの誕生日、生きていれば17歳になる」そう言って、また涙を流している。
老女は妙子と言った、代々続く陶芸家で主人や息子も地元では有名だった。孫のたけしはおばあちゃん子で、どこに行くのも一緒、幸せな日が続くと信じていた・・2歳になる、たけしが、車の後を追って来てるだなんて、気が付いた時には遅かった。後悔の日々、小さい命の重さに、押し潰されそうになり、せめて息子夫婦に子どもでも、できれば救われたのだが、産後具合が悪かったのか、子どもは、さずからなかった。たけしの7回忌が済ませた、次の日、屋敷を出た。 妙ばあさんの部屋の中は、整理され、拾って来た物だろうか、きれいに飾りつけなど、施している。 「ヘェーボロいのかと思ったけど、いい感じだな」とたけしは言った、俺も同感
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