ﾇｴ

「たけし、俺ちょっと界まで行ってくるわ、ヌエは犬になり下がったって、笑っているヤツラがいるって聞いたから、凝らしめて来てやる！」「おう！負けんなよ！」あの日から始めて、たけしから離れたヌエ。
「ばあちゃん、僕が今日は売りに行こうか」 「ほんとかい、じゃー二つ隣町がいいかもしれん、気前のいい人がいるんじゃ」 自転車で20分ほどかかっただろうか、ばあちゃんに言われた通り駅前のシャッターを閉めている店の前に作品を並べた。しばらくすると、上品なおばあさんがやって来て「あなたが、たけし君思ったより、若くてかわいいわね」そう言ってしばらく作品をじっと見て「これ、みんな頂くわ！知り合いに、以前差し上げたら、喜んでいただいて、嬉しかったわ、 ところであなた妙さんがおしゃってたけど、陶芸家に弟子いりなさるの、」初めて聞いた話にびっくりしたが、ばあちゃんが僕の将来の事、心配しているのは気が付いてた「じゃ」と言って、そのおばあさんは一万円置いて行った。初めて見る一万円札を舐めるように見て、このおじさん、ツルンとしたらヌエに似ていると思った。
帰り道、初めて自分の将来の事を考えながら帰った、後を付けて来る茶髪の男に気づかなかった