ヌエ
「ばあちゃんー」 「なんだい、たけし!」あのおばあさんから聞いた話を確かめようとしたが止めた。 「しかし一万なんて、ほんま、気前のいい人だ、たけしが、かわいかったからかね」と言って笑った。 「たけし、あの犬帰って、こんね」「ほんとだ、探して来るよ」茜色の空の下、きっと好物の蛇でも見つけて遅くなっているんだろう、「ヌエー」と呼んでいたら、背後から「あの気味の悪い犬はヌエって言うのか」振り返ると、あの時の三人がいた。