ヌエ
魔がさす
魔がさす

「働けど、働けど、我が暮らし、楽にならずかー」大きなため息と、ともに公園のベンチに腰を下ろした、桂子「高志野球の遠征で、三万ぐらいいるって、言ってたな、大樹も、特別講習受けたいって言ってたし、今月も、きびしいな」毎日お金の、やりくりでイヤになると、思いながら、足元に、ふっと目をやると、バックが置いてある「まぁー不用心な」と言いながら、バックのヒモを片方だけ持ち上げると、銀行の封筒だろう、一万円札が見える。「どうしよう!」警察に届けなければと、いけないのに、「誰も、見てない」「こんな所に忘れるのが悪いのよ」と、その封筒を自分のバックに、押し入れた。震える足で、必死に、自転車をこぎ、飛び出そうな心臓を、落ち着かせようと、胸に手を当てた
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