ヌエ
「さっきの犬、チロじゃなかった、ほんと、どこに、行ったんだろう」ミツ子は、長年一緒に生活したチロに、よく似た犬の後を、思わず追ってしまった。 ベンチに戻り、バックがある事を、確認し「大金を、ほったらかして、ほんまに」と言いながら、中身を見た。「ない!ない!」頭の中が、真っ白になる。立っていられず、その場に、へたり込む。 這うように、警察に行った「お金だけ、取って行った・・・おばあさん、身内の人に連絡しましょうか」「いや、いいんです心配させとうないんで」あのお金は孫の結婚祝いと、生活費、二十万、余裕ある生活なんて、していない。しかし息子も、孫の結婚で、物入りだろうし、頼れない。 「なんて、バカなんじゃ」自分を責めながら、家に帰り、玄関で倒れてしまった