紅い果実《BL》
…それから死神はどっかに消えた。
頭を使え、か…
「言われなくても、分かってるっつーの…」
さっき触ったとき、最初に飛び込んできたのは感情。
悲しみ
怒り
絶望
諦め
そして、激しい後悔────…
もう一度、触ってみる。
「っく…」
他人の感情に押し流されそうになりながらも、なんとか意識を保つ。
すると、景色が僕の目に見えてきた。
白い壁と…花?
ベッドの上にいて…定期的に続く音がする。
息がしづらい。
身体が思うように動かない。
…?
なんだ?
右手が、あたたかい───…
「…ッ!!」
右手に暖かさを感じた瞬間、また激しい感情が流れてきた。