紅い果実《BL》

「え?
クロエ、今アンタなんか言っ…」

ズキッ

「…っつ?!」


急に頭痛がして、頭を抱え目を堅く閉じる。

でも頭痛はすぐに収まり、目を開けた。

『…ッえ』

そこは、真っ暗闇だった。
なにも見えない、闇の世界。

『ここは…?
クロエ、クロエー…!』

…声が響かない。
どこまでも、果てしなく無限に広がる闇。

そこに、独りたたずんでいる僕。

『だ、誰か…助けて…!
クロエ、クロエ!!』

だめだ、怖い。
ここにはいたくない。

ここには────…!



《──────…っ》

そのとき、わずかに声が聞こえた。

声がする方へ歩いていくと、そこにはクロエがへたりこんでいた。

< 30 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop