紅い果実《BL》
「え?
クロエ、今アンタなんか言っ…」
ズキッ
「…っつ?!」
急に頭痛がして、頭を抱え目を堅く閉じる。
でも頭痛はすぐに収まり、目を開けた。
『…ッえ』
そこは、真っ暗闇だった。
なにも見えない、闇の世界。
『ここは…?
クロエ、クロエー…!』
…声が響かない。
どこまでも、果てしなく無限に広がる闇。
そこに、独りたたずんでいる僕。
『だ、誰か…助けて…!
クロエ、クロエ!!』
だめだ、怖い。
ここにはいたくない。
ここには────…!
《──────…っ》
そのとき、わずかに声が聞こえた。
声がする方へ歩いていくと、そこにはクロエがへたりこんでいた。