紅い果実《BL》
《………》
『目を開けろ!
この手を耳から外せ!!』
僕はクロエの両腕を掴み、必死に耳から剥がそうとした。
《う、あぁ…っ!
やめろ、やめてくれぇぇぇぇぇッ…!》
『…ッ!!』
クロエが叫んだ瞬間、僕は弾き飛ばされるようにクロエから離れた。
いや、強制的に離れさせられた。
驚きのあまり、目を堅く閉じる。
…?
痛みはない。
そっと目を開けると、そこには青い空と宙に浮いたクロエが汗だくで僕を睨んでいた。
「…てめぇ、勝手に人の心ん中覗いてんじゃねぇぞクソガキ。」
「…ッ」
凄まじい殺気と、威圧。
目が合っただけで殺されそうだ。
「別に…好きで見たわけじゃ、ない。」
「だとしても、だ。
てめぇにお節介やかれる筋合いはねぇ。」
「なっ…!
アンタが勝手に出てきたんだろ?!」
「おめぇが俺を呼んだんじゃねぇかよ!」
「っ…いつまでも、ウジウジしてっから抜け出せないんだよアンタは!
ユリって人の顔すら思い出せないくせに!
だからアンタはダメなんだよ、このスカポンタン!!!」
俺はそう言い捨て、魂を袋に入れてそのまま遠くに飛んだ。