小さく笑ったあなたの目には
小さく笑ったあなたの目には
私の胸にある小さな星のきらめきが、あなたのことを見るたびにたまっていく。

人はそれを恋だといった。

あなたの目の奥は私を見ていなくても、それでもいいと思ってた。

あなたは私の話を聞いて、笑ってくれる。

私と一緒に笑ってくれる。

それだけで、充分だった。



そして、心の中で思ってた。

もしかしたら。

もしかしたら。

その笑顔は、その瞳は、その声は、その手は、きっと私のものになるかもしれない。

あなたが、私に向かって笑いかけてくれるかもしれない。



でも、そんな幻想は塵となり消えた。

あなたの隣には可愛らしい女の子。

すべて私のものだ。そういってるかのように、体を密着させ、上目遣いで笑いかける。

あなたは幸せそうに彼女の頭を撫でて、私の隣を歩いてく。

始めは嘘だと願った。

けれど、色々な人から話を聞き、何日も待った。

もしかしたら、ただの友達で、最近仲良くなっただけではないのか。

二人がいつか離れるときが来る。

そう思っていた。



でも、そんな希望は崩れさる。

放課後、廊下であなたと彼女を見つけた私は物陰からこっそりその様子を見ていた。

一生懸命背伸びをしている彼女を支えたあなたは、小さく微笑むと、彼女の唇に自分の唇を優しくつけた。

何度も、何度も。


私は静かに駆け出した。

目をつぶっても、二人の廊下の様子。

幸せそうに微笑む二人が。

目に焼き付いて離れない。

あぁ、もう終わったんだ。

私の恋は。

道を歩く私の目には、水がたまって前がぼやけた。

涙がこぼれないように空を見上げた。

今までの私の心にたまってたあの小さな星のような光が空に瞬いていた。


私の心にもう星はない。

今は、ただのショックと後悔だけだった。

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