小さく笑ったあなたの目には

そう言って彼女は走って行ってしまった。

口を手で覆いながら。


僕は納得がいかなかった。

なんだよ、私よりもいい人がいるって。

なんでそうなるんだよ。


こんなにイライラするのはいつぶりだろう。

でも彼女は昼休みが終わっても戻ってこなかった。

どうやら保健室にいるらしい。

僕は放課後、彼女が戻ってくるのを待った。


みんながいなくなってから30分後。

彼女が戻ってきた。


「え、なんで。」

僕は彼女の方へ歩いていき、目を細めて言った。

「さっきの、全然意味わかんないんだけど。」

「っ。そのまんまの意味だよ。」

「私よりもいい人がいるって。僕の気持ちまで踏みにじるつもりなの。」

「だって、私、最低な人なんだよ。私と付き合ったって、いいことなんもない。」

「お前今私と付き合ったってって言ったよな。つまり俺と付き合ってもいいってことなんだろ。それのどこがいけないんだよ。」

「だから、私は最低だって、何度いったら!」

僕は彼女を壁際に追いやると、顔の横に手をついた。

「俺がお前のことが好きで、お前は俺と付き合ってもいいって思ってる。お前は俺のことを嫌いだとは言ってない。」

僕は彼女の目をじっと見つめた。
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