小さく笑ったあなたの目には

彼の口調が荒く、目が冷たい。

少し大人っぽくなったような気がした。


昼休み。

昨日のことでろくに眠れなかったので、頭痛がしたから、保健室に行っていた。

その間、考えていた。

私は小堀君をどう思っているのか。

彼は優しい。

よく私に話題をふり、楽しませてくれた。

あまり喋るのが得意ではない私を気にかけていてくれた。

一緒にいると、心が温かくなるような。

彼のさっきのショックを受けたような表情が頭から離れない。

胸の奥が押されるみたいに苦しい。

これも恋なのだろうか。

神崎君のほうにはただ、憧れというものが大きかったような気がする。

彼が星なら、小堀君は月だ。

夜道を照らしてくれる優しい光。

彼にはそれがあった。

あぁ。

私は小堀君が好きなんだ。

改めて考えてみると、わかる。

でも、ここでひとつ引っ掛かるものがあった。


昨日違う人に告白した女の子が私もあなたのことが好きだと言ったら。


私だったら、絶対信用しない。

当たり前だ。

そんな心がコロコロ変わるような人は私だってごめんだ。


だから、彼に甘えてはいけない。

好きだからこそ。

そう、思っていたのに。


「キミは僕のこと、嫌い?」


どうしてそんな悲しい顔をするの。

嫌いなわけないじゃない。

好き。

大好き。

でも、そんなこと言ったら、あなたは悲しむんじゃないの?

もう、いっそのことキスとかしてくれちゃえばいいのに。
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