かわいい犯罪
5
昼食を終え、彼女が行きたがっていた雑貨屋や服屋を回っていると空はもう真っ赤に染まっていた。
次で最後と言って入った服屋からなかなか彼女は出て来ない。
「はあ…」
まだ九月半ばだが、夕方の外気は肌寒く、吐いた息が淡い白を作る。
時間がかかるなら自動販売機でコーヒーでも買って待てばよかったのだが、今からだと買いに行く間に彼女が店から出てくる可能性が高い。
「中入るか」
男一人で女性ものの服屋に入るというのは勇気のいることだが、中に彼女がいるのだ、なんら咎められることはないだろう。
カランコロン
ドアベルが軽快な音を奏でる。
「なあ、まだ…」
「あ、これ、どうですかね?」
入った矢先に目に飛び込んだのは、先程までとは違った服装の、可愛らしい彼女だった。
白い、レースがふんだんにあしらわれたワンピースに、オレンジのシンプルなストール。
そして、
「え、ちょ、なんで生脚出して」
普段はパンツやトレンカに隠されているその白く長い脚は、惜しげもなく晒されていた。
「ななな、生脚って!表現が生々しいです!」
顔を赤らめて脚を隠そうとしゃがむ彼女。
「ワンピースでしゃがむな、危ない」
「あ、はい!」
何が危ないのか理解してないのだろう。
そこがまた可愛い彼女だった。