かわいい犯罪
6

「そう言えば」
店を出て、思い出したように隣で手を叩く音がした。
街灯がぽつぽつと明かりを放ち始めている。
先程買った服の入っている紙袋が、彼女の腕に跡を残しながら揺れる。
「なんで今日は寝坊したんですか?」
小首を傾げるようにして尋ねる彼女。
「時計が、目覚まし時計が止まってたんだ」
「なるほど。なら修理に出すか新しいのを買わなければいけませんね」
心なしか、彼女の声は弾んでいる。
「提案があります」
「うん?」
「目覚まし時計を修理するにしろ買うにしろ、お金がかかりますから、これからは代わりに私が毎朝モーニングコールをするのはどうでしょう?経済的です」
ああ、それは――いい提案だ。
僕は笑ってそう返した。
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