Wonderful DaysⅢ【berry’s cafeバージョン】
「今、思い出したのよ」
なんか、蓮に言われると無性に腹が立ってくる。
『じゃあ、その準備室にいる可能性があるってことか』
「わからない。もしかしたら、途中で迷子になってるかもしれないし」
『……おい、ちょっと待て。あの女、自分の通ってる学校でも迷子になるのか?』
私の言葉に反応した蓮は、信じれないとでも言いたげに呆れた声を上げる。
「だから、マリアは超ド級の方向音痴だって前から言ってるじゃない」
『方向音痴にも、限度ってもんがあるだろがっ!』
マリアに会う前の私だったら、きっと蓮と同じように答えてた。
でも……
「私に文句言わないでくれる? 仕方ないでしょ、マリアなんだから。本人だって、ふざけてるわけでもなんでもなくて、本当に道がわからないのよ」
ずっと、あの子を身近で見てきてたから。
個人差もあるんだろうけど、マリアは間違いなくとんでもない方向音痴だってことくらいはわかる。