Wonderful DaysⅢ【berry’s cafeバージョン】
マリア・ウィンザーを知る者
◇
「……あ、マリアちゃん!」
魁さんが応接室の扉を開けると、視線がばっちり合った慧さんが、いち早く私に気がついて反応した。
「やっと、目が覚め……わっ!」
「おはよう、マリア」
慧さんがソファーから立ち上がろうとしたところで、それを阻止するかのように立ち上がったのはマーク兄さんで。
その動きに驚いた慧さんは、びくっとしてソファーの隅に飛び退いた。
「……マーク兄さん」
「何をご立腹なのかな? うちのお姫様は」
目の前まで歩いてきたマーク兄さんをジト目で見上げれば、私が怒っている意味が分からないのか、首をこてんと傾げて聞いてくる。
「私の洋服……」
小さな声で呟けば
「あぁ。その服も、よく似合っているよ」
分かるように言ったのに、笑顔のマーク兄さんからは見当違いな答えが返ってきた。
「……………………」
ちっが─────う!!
私が聞きたいのは、そんな言葉じゃありません!!