Kiss&Love
「今日は勇人が整備当番だろ。」
隼人先輩が笑いながら言う。
「勇人に頼まれて来ただけだ。」
相変わらず浅岡諒はムスッとしている。
「希美屋のラーメンで交渉したんだろっ!諒、好きだもんな希美屋!」
「き、きみや!?」
希美屋ってラーメン一杯千円する最高級ラーメン屋じゃ…!!
「当然だろ!じゃなかったらこんなほこりまみれなことしてるか!ほんとなら今頃部屋で寝てるんだよ!それなのに厄介な女は来るだなんだで仕方ないから希美屋のラーメン付きで勇人の頼み事を引き受けたんだよ」
コイツ、なんて贅沢な!
「おい浅岡諒!しょっちゅう希美屋に行ってるならあたしも行かせろぉぉ!贅沢過ぎんだよ高校生!」
「あ!?フルネームで呼ぶんじゃねえハゲ!先輩を付けろ!」
「わかりましたよ!贅沢な浅岡せ・ん・ぱ・い!」
「いっぺん死んどけ!」
ガチャ
誰かが入ってきた
「諒先ぱ…あ、兄貴!」
「勇人!ダメだろ、諒に押し付けたら!」
「だってA組に可愛い転校生が来たってゆーから見に行ったんだもん!結局いなかったけど…ん!?」
男があたしの存在に気付く。
「ああああ!まさかA組の転校生!?星野未紗ちゃん!?」
「は、はい…」
「うっは!本物だ!俺、伊勢原勇人!2-B!勇人って呼んでね!」
へえ、藤河颯爽と一緒のクラスじゃん。…ん?伊勢原?
近づいてきた勇人の顔を隼人先輩が無理矢理離す。
「コイツ、俺の弟。」
あ、うん。なるほど。
「いやあ、可愛いね。彼氏いる?」
「いませ「未紗ちゃんの彼氏はこの俺様だぞ!もう既に食ったからな!」
勇人が目を丸くさせる。
いや、彼氏じゃありませんから!食われてませんから!あれはかじられただけでまだ食いかけですから!
「いや、あたし隼人先輩の彼女じゃありませんよ!」