氷と魔女《specialstory 完結》
ガサッ


「……こっちはちょっと暗い…」


木が心なしか密集して来てる気がする。

多分位置関係だろうけどさ。

だから結構暗い。



「あ……発見!」



木の間から奥の方に、スリップマウスがいた。

光属性か…





「ダーク・リ……」

ガウス………とは、言えなかった。



ドガアアァァン‼︎‼︎‼︎



「……え?」


私は、今魔法を使おうとした…

そしたら…



「に、逃げなきゃ!」



空から火属性魔法が降って来て、山火事気味!





で、でもここで逃げたら広がるだけだよね…





「スプリス・デュオーネ!」


杖から細い細い水が出る。

けどそれが火に少しでも触れると…



「あ…やばっ」



全力疾走で走り出す…






ジュッ




後ろの方から焦げたような音がする。


普通、 水が火に触れただけでこんな音はしない。





けど、この魔法の場合は…




ドドドドドドドドド





「早い!ストップ!待って!杖しまっちゃったから!」



洪水を引き起こす魔法…というのが1番しっくりくる言い方。




水の勢いは半端じゃない。

火を消し去ると同時に、私にも容赦無く襲ってくる。



杖!杖…

出た!今は光が出てくれなくてもいい!


水はもう、足のすぐ後ろまで迫って来ている…


「り、り…リースグラディ!」



大声で叫んだ瞬間、突風が巻き起こる。

「くっ……」

数秒の風に耐えて、目をそーっと開く。



水も、もちろん火も消えていた。



「良かった……」
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